- 2025.01.27
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自社ドライバーに対して睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査を導入しました

近年、物流・運送業界は大きな転換期を迎えています。社会インフラとして、安定した輸送と高品質なサービスの提供が求められる一方、ドライバー不足や働き方改革、さらには安全対策や労働環境改善がますます重要視されるようになっています。このような背景の中で、ドライバーの健康管理は企業経営上の大きなテーマとなっています。
当社、株式会社高崎リビングは、システム収納の設置や建材の運送をメイン業務とし、日々多くのドライバーが全国各地を走り回っています。私たちは安全運転の根幹に「ドライバーの健康状態」があると考え、これまでも健康診断や定期的な面談など、従業員の健康管理には力を入れてきました。
しかし、近年注目を集めている健康課題として「睡眠時無呼吸症候群(SAS)」があります。SASは、睡眠中に呼吸が繰り返し止まる、もしくは浅くなることで、十分な休息が取れず日中の強い眠気や疲労感を引き起こす症状です。特に長距離ドライブが多い運送業務では、万が一ドライバーにSASがあれば、居眠り運転や集中力低下による事故リスクが高まります。そのため、当社はこのたび、「睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査」を自社ドライバー向けに導入し、安全・安心な運行環境の確保に乗り出しました。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)とは何か?
SASは、英語で“Sleep Apnea Syndrome”と呼ばれ、睡眠中に呼吸が何度も止まる、または低呼吸状態が続くことで睡眠の質が極端に低下する疾患です。主な症状としては以下のようなものがあります。
いびき:特徴的ないびきをかく
日中の強い眠気:夜間の睡眠が十分でないため、日中に強烈な眠気が襲う
疲労感や集中力低下:しっかり休めていないため、疲れが取れず集中力が持続しにくい
その他の健康リスク:高血圧や心疾患、糖尿病リスクの増大
運送業に携わるドライバーにとって、居眠りや判断力の低下は深刻な事故につながる可能性があります。そのため、SASの早期発見と対処は、業務上の安全性確保と労働者の健康維持に直結すると言っても過言ではありません。
なぜ今、SASのスクリーニング検査を導入するのか?
安全運転の強化:
当社ドライバーは日々、システム収納や建材を顧客のもとへ安全に届ける使命を負っています。その安全を脅かす要因のひとつが、ドライバーの健康問題と眠気。SASを早期に把握し対処することで、ドライバー自身の意識向上や業務体制の整備につなげ、事故リスクを軽減します。
ドライバーの健康と福祉向上:
当社は従業員が長く安心して働ける職場づくりを目指しています。SAS対策は、ドライバー個人の健康改善や生活の質向上にも寄与します。質の良い睡眠は、日中のパフォーマンスを上げ、疲労やストレスを軽減する効果も期待できます。
社会的要請とブランドイメージ:
働き方改革や健康経営の観点から、従業員の健康管理に真剣に取り組むことは社会的要請でもあります。SASスクリーニングの導入は、当社が安全・健康に真摯に向き合っている姿勢を内外に示す重要なメッセージとなるでしょう。
スクリーニング検査の方法
今回、当社が導入したSASスクリーニング検査は、ドライバーが自宅で就寝中に専用の測定機器を装着することで、睡眠中の呼吸状態や酸素飽和度をチェックする方法です。具体的には次のような流れになります。
検査前の説明・同意:
ドライバーに対して検査の目的や方法、結果の扱いを丁寧に説明し、同意を得ます。
機器の装着・就寝:
専用の小型測定機器を、指先や鼻下などに装着し、そのまま通常通り就寝します。機器は軽量かつ簡易なタイプで、特別な操作は不要であるため、普段とほとんど変わらない寝方で検査が可能です。
データ回収・解析:
翌朝、装置を外し、そのまま専用キットに返却します。集められたデータは医療機関や専門機関で解析され、SASの疑いがあるかどうかをスクリーニングします。
結果報告とフォローアップ:
判定結果は各ドライバーにフィードバック。必要な場合は医療機関への受診を推奨し、その後のフォローアップやサポートを行います。
このように、特別な入院や通院を伴わない簡易的な検査方法を選択したことで、ドライバーにとっても検査の負担が少なく、より受診しやすい環境を整えました。
導入後の期待効果
事故リスクの低減:
SASによる日中の強い眠気や集中力欠如は、重大な交通事故を引き起こす可能性があります。早期発見により、適切な医療介入や生活習慣の改善が図れれば、事故リスクが下がり、社会や顧客に対して安定したサービスを提供できます。
ドライバーのパフォーマンス向上:
十分な休息が確保されれば、ドライバーの体調管理がしやすくなり、結果として業務効率や生産性が向上します。健康であればあるほど、長距離走行や重い荷物の積み下ろしなどのハードな業務にも余裕を持って取り組めるでしょう。
働きやすい職場づくり:
健康診断や面談だけでなく、SASスクリーニングといった専門的な健康管理策を導入することで、「会社は従業員の健康・安全に本気で向き合っている」との印象を従業員に伝えます。これにより、ドライバーの定着率向上や採用面での有利性をもたらし、結果的に企業競争力強化につながると期待できます。
当社の健康経営ビジョン
株式会社高崎リビングは、システム収納の設置や建材運送という身体的な負荷もある業務を取り扱っています。特に長距離運送の場合、適切な休息と睡眠は安全運転の根幹です。当社は、これまでの健康診断や生活指導に加え、今回のSASスクリーニング検査導入を一つのステップとして、今後も従業員の健康を軸にした「健康経営」を推進していきます。
健康経営とは、従業員の健康増進を経営的な視点で捉え、計画的に取り組む考え方です。健康な従業員が増えれば、生産性向上、サービス品質の安定化、ブランドイメージの向上へとつながります。当社は今後も定期的なカウンセリングや栄養指導、運動支援プログラムなど、さまざまな手法を検討していく予定です。
受診するドライバーの声
実際に検査を受けるドライバーからは、「家で寝るだけで検査ができるなら、手軽で助かる」「最近疲れが取れない気がしていたので、原因を知るいいきっかけになりそう」といった前向きな声が寄せられています。
当社としては、SASのスクリーニングを入口として、ドライバーが自分の健康状態をより深く理解し、必要な対策を講じられるようなサポート体制を整えたいと考えています。睡眠は多くの人が軽視しがちな項目ですが、運送という業務を円滑に進めるうえで欠かせない基礎体力とも言えます。
社会へのアピールと責任
今回のSASスクリーニング検査導入は、当社が自社ドライバーだけでなく、社会全体に対しても「安全・安心を提供する」ためのメッセージです。運送業は社会基盤を支える重要な役割を担っており、一台のトラックが安全に走行することは、顧客や道路利用者、ひいては日本中の生活者にとって大切なことです。
企業として、人命と財産を運ぶ責務があり、その安全性確保においては社員一人ひとりの健康状態が欠かせません。SASのような睡眠障害は、個人の問題を超え、企業や社会にとっても無視できない課題です。私たちはこの課題に正面から向き合い、「従業員第一」の方針を持って取り組むことで、より良いサービスを提供し続けたいと考えています。
今後の展望
SASスクリーニング検査を導入したことは、ゴールではなく始まりに過ぎません。これをきっかけに、ドライバーの健康に関わるデータを蓄積・分析し、改善策を練っていく方針です。
今後は以下のような取り組みも視野に入れています。
改善指導・フォローアップ:
検査結果をもとに、SASが疑われるドライバーには医療機関の受診をサポートし、改善策や生活指導を行います。
運行管理との連動:
ドライバーの健康状況に応じて、運行シフトや休憩スケジュールを見直し、無理のない働き方を実現する体制を検討します。
睡眠教育・啓発:
睡眠の重要性や自己管理方法について社内研修や情報共有を行い、ドライバー自身が自らの健康を守る知識と意識を高められるような活動を行います。
業界への情報発信:
当社の取り組み事例を業界内で共有し、運送業全体で安全性や健康管理の水準を高める一助となることを目指します。
まとめ
「自社ドライバーに対して睡眠時無呼吸症候群のスクリーニング検査を導入しました」という今回の取り組みは、当社、株式会社高崎リビングがこれまで培ってきた安全運行へのこだわりをさらに強化する一歩です。日々の運送業務は、単なる「ものを運ぶ」以上の責任と誇りを伴います。
ドライバーの健康状態が万全であれば、事故リスクは軽減され、顧客への納品やサービス品質の確保が揺るぎないものとなります。また、健康的な職場環境は社員の定着、モチベーション向上にもつながり、結果として企業の持続的成長を後押しします。
私たちは、社員とそのご家族、そして社会の安全と幸福に貢献するため、この取り組みを起点にさらなる改善を模索し続けます。引き続き、安全・安心・健康を軸とした経営姿勢を貫き、お客様や地域社会から信頼される存在であり続けることをお約束いたします。